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塗装工場は各工程において環境に対する何らかの影響力を持っており、前処理、塗装、乾燥、洗浄、剥離(はくり)などのそれぞれの作業において、様々な対応が求められています。
塗装工場は典型7公害と言われる大気汚染、水質汚染、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭のうち、地盤沈下以外のほとんどの項目に関係があります。それぞれの対応の仕方によっては、費用の割には効果が十分に発揮されないケースもあり、公害対策が結果的に、塗装工場の利益に結びつく対応になるように工夫したいものです。

1.水の環境
1)水の管理と節水
水の環境は廃水処理コストを安くするという視点以前に、節水システムを活かし使用量そのものを減少させること、排水についてはリサイクル化、再利用の徹底によって排水コストを低減させることが、まず重要です。
2)水の濾過(ろか)
水の濾過や処理は、もう一度自然の力を見直して、樹木や植物から得られる不ぉルターや自然界からの濾材などを利用し、コストをあまりかけない処理法を考えることが求められるようになってきそうですし、廃水では、自然の蒸発力や微生物を利用した処理などが、最近見受けられるれるようになっています。さらい、この原理をシステム化し、従来にない発想での水処理やリサイクルが可能になろうとしています。

2.臭気対策
臭気対策は、他の公害の対策法とは違う特徴をもつことを理解しておく必要がある。これらの対策法法には、拡散法、水洗法、消臭剤法などの利用によって、消臭効果を得ることが可能です。

3.品質としての環境
塗装の要求品質の高度化と共に、品質面からの環境下以前要求が出ており、クリーンルームの設置例もふえてきています。まじきりを行うことにより、塗装作業場での温度・湿度官吏が可能となり、作業環境の改善と共に品質の安定化と不良率の低減に効果を発揮しています。空調にしようする不ぉ利他ーのレベルは、一般的には忠誠の鵜フィルターレベルで十分効果的な使用ができている例も 多くあります。
<安い> とは、初期設備投資が安く、ランニングコストが安く、使いやすく、最終的な廃棄費用のすべてにおいて優位性をもつことが求められています。

空調については、温度+湿度コントロールを塗装室への給気で行う工場が増えてきていますが、設備費が高くランニングコストも塗装単価から見て割高になっている例が多いようです。コストは風量に比例するため、必要風量をいかに少なくするかが計画のポイントとなります。
このため、風量全体の中で、品質上必要性が低い箇所への給気は、空調・温調をしない風を送り、必要最低限のエリアでの温調雰囲気ゾーンに給気することにより、コストを抑えることができます。品質不合格による塗装不良の発生は、再塗装を考えると、塗装コストの3倍近い費用がかかることが実証されています。最小のコストで高い品質を維持することへの知恵が極めて重要になります。

4.排気量・溶剤排出

塗装工場は工場の換気回数が多く、かつ排気量が他の工程に比較して多く、空調には不利です。これをカバーする一つの方策が、排気の一部を塗装ブースに戻し、絶対排気量を減少させる方法です。10〜25%の風量をリターンさせ、空調コストの低減化を図ります。
排気量を減少させるための方策の一つとして、スプレー塗装の場合、塗装ガン数を極力少なくして塗装できるようにすることです。多数ガンによる確率的塗装よりも、塗装ガン1丁で の塗装の方が溶剤の使用量が少なくてすみ、したがって排気量も少なくなります。

5.産業廃棄物
産業廃棄物のコストを、売り上げ高に対する割合としてみる方法があります。たとえば売上高100万円に対しての産廃対策コストとして比較します。塗装工場では、塗装スラッジでの処理費用や廃シンナー費用、前処理のスラッジで処理、塗装設備のフィルターの排気処理費用などが、どの程度になるかです。
塗装工場で最も多く排出される産業廃棄物が塗料です。塗料スラッジの有効再利用は、確率されてないのが実情ですが、塗料スラッジを乾燥させ、ペレット状にして燃料として使用しようとする試みが進められています。前処理や水の加温、水切り乾燥炉や硬化炉の熱源として、熱交換機を通して活用が今後期待できます。

6.まとめ
塗装工場の環境を考える時、リサイクルの基本となる3R、Reduce(削減)・Recycle(循環)・Reuse(再利用化)がシステム化されて、初めて環境に対する循環の環が完成されます。
しかし、塗装工場は他の産業に比較して遅れているのが現状であり、利益の出る環境対応をするためには、3Rのそれぞれの項目ごとに数値目標と計画スケジュールを作成し、他社よりも早い推進スピードを達成することにより、環境対策での優位性が確保できます。
工場から排出される産業廃棄物や環境コストに比較して、環境対応によって生み出される省エネ、節水、再利用、省材料などの利益差がプラスになり、充分に採算に見合った塗装工場になることは可能です。塗装工場が近い将来、「環境は利益」との認識を立てるように目指せればと考えています。

※奥山岑長:(株) エスジー代表取締役


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